せっかく病院薬剤師になったのに、病院薬剤師にならなければ良かった。
そう感じる新卒~3年目の薬剤師は少なくないと思います。
仲の良かった後輩が1~3年目で辞めてしまうこともあり色々相談に乗っていたこともありましたし、実際私も病院薬剤師として働きはじめ半年で辞めてやろう!っと思ったことを今でも鮮明に覚えています。
その後は5年間病院で働き、それ以降は今後のライフスタイルを考え保険薬局に転職しましたが、そんな私だからこそ伝えらえることがあるのではないかと感じ書いています。
しかし、今そんな状況でも解決できる方法があります。それは、
- あいさつを疎かにしない
- 疑問を持つようにする
- 分からないことは先輩に相談する
- 基本的には電話ではなく直接話す
ということです。え?そんなこと?と思うかもしれませんが、病院薬剤師を後悔している人の多くはこれらのことが出来ていないケースが多いです。
少しずつ深堀りをして解説していきましょう!
病院薬剤師になって後悔?理想との差

病院薬剤師になったのに後悔する人は一定数いますが、何が理由なのでしょうか。
まずは病院薬剤師を目指したきっかけはなんでしたか?
こんな病院薬剤師になりたい
病院薬剤師を目指す人の多くは、次のような望みをもって入職してきます。
- 他職種と連携して医療に携わりたい
- 病態についての知識も広くつけたい
- 急性期病院で様々な症例に触れたい
- 注射剤についても学びたい
- ○○の専門を目指したい
このような自分のなりたい薬剤師像があったのではないでしょうか?
インターンでも多くの学生たちがこのように話をしているのを聞いてきました。
これらの理想像は全く間違いではありませんし、素敵なことだと思います。
それなのになぜ入職して間もない1~3年目で後悔してしまうのでしょうか?
後悔の8割が「人間関係」に悩む
病院薬剤師になって後悔した理由としては、以下の5つが特に多いです。
- 調剤などの対物業務に楽しみを見出せない
- 他職種とコミュニケーションが取れない
- 先輩からの言葉を真に受けすぎてしまう
- 仕事が残ってしまい残業が多い
- それらの不満を打ち明けられる人がいない
主に「人間関係」であることが分かると思います。
実は、新卒薬剤師が金銭的な理由で後悔することは少ないんですよね。だって就活の時にそこは100%考えた上で入職しているからです。
就職後、自分の理想と現実のギャップに精神面でつらくなっていることが大きな理由です。
「こんなはずじゃなかったのに」と。
それではどうしたらこれらの後悔や悩みを解決できるのでしょうか。
次に進んでいきたいと思います。
病院薬剤師の後悔しないキャリアの立て方

キャリアというほど、大それた話ではありませんが、一番最初にお伝えしたことをかみ砕いて説明していきます。
おさらいとして、病院薬剤師の後悔を解決する方法は下記の4つです。
- あいさつを疎かにしない
- 疑問を持つようにする
- 分からないことは先輩に相談する
- 基本的には電話ではなく直接話す
何より大切なのはコミュニケーション能力
これはチャラい人たちに言われる「コミュ力高い」とは全く別のものです。(それが必要な場合ももちろんありますが。)
皆さん、仕事をする上で何が一番重要視されていると思いますか?
調剤スピード?ミスなく仕事ができるか?知識が豊富かどうかでしょうか。
とても大切なことではありますが違います。
一番重要なのは、「この人とは仕事がしやすいな」と思われているかどうかです。
まずは人として好かれる努力をしましょう。
あなたも普段ぶっきらぼうの人と仲良く仕事しようとか、わざわざ話しかけようとか思わないのではないですか?
それと同じ事です。
まずは、医療従事者としてではなく、人として良好な関係を築ける土台を作りましょう。
それを解決する方法が、
- あいさつを疎かにしない
- 基本的に直接話す(電話ではなく)
という事です。心理学的にも実際に顔と顔を合わせて接している方が人間関係は良好になるというデータもあります。
若手の薬剤師が信頼を得るには
1~3年目にとって5~6年目の先輩はかなり知識的にも他職種との関係においても遠く離れた存在であるかのように思えているのではないでしょうか。
実際に彼らも最初からそうだったわけではありません。あなたと同じような道をたどっている人がほとんどです。
特に新卒、2年目の先生たちが薬剤師として信頼を得る方法は、
疑問をもつ癖をつけ、調べる。分からない、疑問が残るようなら先輩に聞く。(あるいは医師や看護師でも可)ことです。
疑問を持たなければ新たに知識を集積することは困難になりますし、分からないことを放っておくと患者さんにとって大きなデメリットを与えてしまう場合もあります。
分からないことをそのままにしないというのは医療者にとっては非常に大切なことです。
そして何か、変更点や注意すべき内容などがある場合は積極的に他職種にも情報を共有してください。
この積み重ねが職場の同僚や医師や看護師からの信頼を得ていく手段になります。
病院薬剤師を後悔しても転職は逃げ?

しかし、いくらあなたが頑張ったとしても、人間関係をすぐに改善することは難しいのも事実です。
頑張っている最中に精神的につらくなる場面もありますし、そもそも同僚や他職種の人柄も影響することもあります。
そんな時に「転職」を考える人も多いと思いますが、転職は逃げなのでしょうか?
答えはNoです。
自分の能力を発揮できる環境が重要
はっきり言いますが、次の内容に該当する場合は「転職」を考えるべきだと考えます。
- あいさつが交わせない環境
- 愚痴ばかりの環境
- 笑顔のない環境
- 調剤業務だけの環境
理由は簡単です。仕事をする、成長する上で精神的な安定というのは非常に重要です。
あいさつもなく笑顔もない環境であれば、どんなにあなたの志が高くても日に日に身を滅ぼしてしまいます。
まずは自分が気持ちよく働ける環境を見つけることが大切です。(楽な仕事と言っているわけではないので注意を!)
病院薬剤師になってやりがいを得られるのは、基本的に感謝された、患者の状態が良い方向に傾いたと感じるときです。
臨床の現場では教科書通りにはいきません。患者から学ぶことがほとんどです。
上記の4つに当てはまるのであれば、病院薬剤師を目指したあなたがきちんと活躍できるように他の場所に移動することも検討しましょう!
病院薬剤師を辞めて生活が楽になった体験
実際、病院薬剤師として働き始めたけど、色々な要因があり辞めた新卒薬剤師の体験談をお伝えします。
とてもまじめな新卒の男性薬剤師がいました。慎重な生活でもあるため急性期病院の調剤業務では遅いと周りから移ることもありました。
一部の中堅の先輩や主任職が陰で「あの子は仕事が遅い、このままやっていけるのか」とぼやいているのを何度も耳に入ってきてしまい、ついにはうつの状態になってしまいました。
先輩に相談して色々アドバイスしてくれたようですが、なかなか切り替えることが出来ずに保険薬局に転職を決意しました。
田舎の薬局に行き、自分に合っていたのは忙しい所でせかせか働くよりも、一人ひとり患者と向き合って指導していくのが合っているとそこで初めて気づいたようです。
今では、うつ状態も治り、笑顔で楽しく過ごしています。
この話は、私の大学の直属の後輩の実話です。
志高く病院薬剤師になったが、人間関係が合わずにメンタルに負担をかけてしまったというのがきっかけでした。
最終的には自分が満足できる働き方を見つけることが出来たので、「転職」は決して逃げでないと私は感じています。
転職のデメリット
少し、転職を考えたあなたに、コレも伝えなければいけません。
転職にもデメリットはある!
という事です。
- 人間関係を一から構築し直す必要がある
- 調剤手順などを再度覚える必要がある
- 経験が未熟なため転職が上手くいくか不明
これらの問題点があることをきちんと把握しましょう。
しかし、先ほどもお伝えした通り、自分の身を引き裂きながら働くくらいならば人間関係をリセットした方が心の安定は得られます。
また陰口を言われるかもしれない。と相手の顔を伺わなくて済みますし、そこで元気なあいさつから関係を始めることが出来れば心にゆとりを持つこともできます。
特に新卒、2年目の薬剤師が転職を考えるときに、もう少し頑張った方が良いんじゃないか?新卒、2年目で雇ってくれる場所は本当にあるのか?と不安に思う方も多いと思います。
まず、その環境で頑張れるのであればそれはそれで良いと思いますが、精神的につらくなるようなら新たな環境で学び直した方が経験値や知識の定着はスムーズにいくでしょう。
また新卒薬剤師でも転職は上手くいきます。重要なのはエージェントの活用の仕方です。
参考までに書いてみたので気になった方は見てみてください。
後悔を取り戻す病院薬剤師へのアドバイス

薬学生だった頃を一度思い出してみてください。
あなたが今後の将来を考えるときに何を先に考えていましたか?
おそらく、病院や保険薬局、ドラッグストア、企業のどこに行こうか、こんな薬剤師になりたいな。
そんなことを思っていたのではないでしょうか?
もちろん薬剤師になるために薬学部に通っていたので当然と言えば当然です。
しかし、働いていて思う事があります。将来を考える時に重要なのは就職先やキャリアプランなの?って。
キャリアよりもライフプランを見直して
仕事のために生きる。
とても素晴らしいことだと思いますが、私の考えは真逆です。
いかに充実した人生を送れるのかという事です。
仕事だけではなく、家庭や趣味も含みます。なんなら平日に昼寝がしたい!なんていう願望もあったりします。
まずはあなたがどんな生活をしていきたいのかを考えましょう。
自由な時間を手に入れて、家族と触れ合う時間を多くしたい、ある程度のお金をためて旅行に行きたい、贅沢する時はパーッと贅沢したいなど様々だと思います。
ライフプランは家でいうところの地盤と同じです。地盤が不安定だとキャリアプランもぶれてしまいます。
さあ、何となくあなたの求めるライフプランは思い浮かべられましたか?
その上でキャリアプランを考えよう
ライフプランを見直すことで、今の職場でそれが果たせるのかどうかがイメージできると思います。
今の職場がそのライフプランとかなりズレているなら修正していく必要があります。
一番手っ取り早く、大きな成長を見込めるのは転職です。
新卒、2年目、3年目だからこそまだ身が軽く辞めやすいというメリットがあります。
5~6年目とかになってくると仕事や責任が増え、自分が辞めると病院に迷惑が掛かってしまうと言い訳をしてやめられなくなるのです。
これは皆さんに知っていてほしい。残念なことに、
あなたがいなくても仕事は回ります。
実際そうですし、それを受け入れなければ決して次のステージに進むことは出来ません。
話は戻りますが、今の職場でも自分のライフプランが成り立ちそうだ!精神的にも落ち着いてきている!というのであればそのまま頑張っていきましょう!
筆者の転職理由
私は急性期病院で5年間働いていました。
消化器内科、化学療法室、手術室、消化器外来、入院支援、HCU、ICU病棟と多くの仕事に関わってきました。
HCU病棟の主担当になったり、他職種と仲の良い関係を築き飲みに行ったり。
かなりやりがいと楽しさを感じていましたが、30歳になる年に考えてしまったのです。
「病院薬剤師って給料安いけど将来大丈夫かな?」
私のライフプランとしては、奥さんや子どもに伸び伸びと生活してほしいというものが軸にありました。
子どもが運動会で頑張ったら打ち上げで叙々苑に行く!みたいなことも考えていました(笑)
旅行に連れて行って多くの文化や景色に触れてほしいというのもあります。
そう考えた時に、転職を決めたのです。
最終的に、転職エージェントさんを通じて会社の人事とも関係を築くことができ、年収は大幅に上げることができました。
仕事も病院から保険薬局へ変わりましたが、人間関係は良好ですし、病院の時とは別のやりがいをもって仕事をすることが出来ています。
つまり、ライフプランを基盤に考えると、働き方も変わり、最終目標へ到達しやすくなるよ!という事です。
まとめ

ステップ | 内容 |
---|---|
1.ライフプラン見直し | 自分の人生の方向性を再度考え直す。(結婚、出産、今後のキャリアなど) |
2.職場環境見直し | 職場の人間関係、福利厚生、キャリアの構築ができるかをチェックする。 |
3.問題抽出 | 自身の悩みや不満を書き出す。 |
4.人間関係見直し | 同僚、他職種とのコミュニケーションを行う。(雑談や業務中の疑問点など) |
5.改善の必要性 | 現状が改善傾向にない場合、職場環境の変更を検討する。 |
実は、職場で一番悩みとして挙げられるのが「人間関係」です。
転職の理由の第一位が人間関係であるのと同様です。
今回は、そんな理由として最も多い人間関係に焦点を当てて、解決策を提示しました。
現状ですでに悩みに感じている人は、表にまとめている5つのStepを参考にして、今あなたの置かれている状況の把握、今後どのように人生を歩みたいかを考えていきましょう!
最後に若手薬剤師へ

さて、今回は新卒~3年目の病院薬剤師が仕事に就いて後悔する理由とその解決策についてお伝えしてきました。
途中で金銭的な部分にも触れるセンシティブな内容でしたがいかがでしか?
金銭的な部分も重要ではありますが、重要な話の軸は自身のライフプランです。
今後、結婚や出産、子育てなど多くのイベントが訪れてきます。
その都度、ライフプランを見直し修正していく必要も出てきますので、定期的に自分がどのような人生を歩みたいのか考え行動していきましょう!